パティスリー研修4 ピュイダムール
随分前のことですが、1989年3月21日フランス・ノルマンディー地方のパティスリーデュポンに到着、研修が始まりました。
とにかく、看板メニューはピュイダムールなんですが、イチゴのタルトにも同じクリームを使っているし、特別注文のルリジューズには真ん中の空洞いっぱいクレーム・ピュイダムールを詰めるので、それも僕の仕事でした。
特別注文のルリジューズとは、キャラメルアーモンド(ヌガティーヌ)の器の上にコーヒーとチョコレートのエクレールを立てて組立て、リング状に焼いたシューと丸いシューで組立てるピエスモンテのことでお祝いの時に食べるお菓子なんです。形が想像しにくいと思いますが、当時でも8人用のルリジューズ(エクレールを8本で組立てる)で400フラン以上の売値で(日本円で10000円を上回る)お値段も非常に高価なお菓子なんですが、バカンス時期はほぼ毎日注文があり、デュポンさん(ご主人自ら)が組み立てをして、仕上げを我々でする感じなのですがエクレールを立てて組み上げると真ん中に空洞が出来ます、他のお店やフランスの教科書での一般的な仕上げはプティシューをゴロゴロ入れるみたいですが、ここではクレーム・ピュイダムールとフランボワーズをたっぷり詰めていました、クレーム・ピュイダムールをたっぷり使うので私の仕事の一環で最終の仕上げは、ほぼ毎回私がさせてもらっていました。
そのルリジューズを、シェフの勤続28年のお祝いパーティー(なぜ28年で?)で食べる機会が有りました、丸いシューとリングのシューを取り(これはおまけみたいな物です)、メインのエクレールを1人1本づつ切り分けて、たっぷりのクリーム・ピュイダムールとアーモンドのヌガティーヌを割ってお皿に分けてくれます、料理を食べた後なので少なめのお皿が良いと思ってましたが、他の男性たち(おじさんたち)はこちらのヌガティーヌは大きいこっちは小さいと取り合いしていたのを思い出します。フランス人はデザートをしっかり食べるし、男女関わらず甘いものが大好き、と再認識した覚えがあります。
もちろん、日々の食後にも欠かさずデザートを食べます。 私も研修初日から約1ヶ月ぐらいは、お昼に店のお菓子を勧められ勉強の為にもと思い頂いていましたが、一通り味を確認したあとは要らないとお断りしたらマダムに怒られて、翌日からはフルーツが出てくるようになりました。 以前書いたかもしれませんが、料理の味付けは塩コショウのみ(甘味は炒めた野菜から)なので、デザートで甘みをとり身体のバランスをとる様な事をマダムから言われたことがあったからです、フルーツから甘味を取りなさいと···
フルーツの食べ方も大きく我々と違い、スイカの種もガリガリ、ブドウも皮も種も食べてしまいます、一番驚いたのは桃、桃は細かく産毛がありますが彼らはそのままガブリと食べてしまいます、流石にそれは…とテーブルナイフで皮をむいて食べたら、同僚達(若者2人が)が私の真似をしてこの食べ方の方が美味しいと言ってました。(若者だけです、年配の方は試しもしません)
フルーツの話で思い出しましたが、おつまみ(前菜)で小エビのボイルした物が出てきた時のこと(3~5cm弱の小エビ)皆は頭を取り背の皮を1匹づつ剥いて食べていました、小さな柔らかいエビだったのでそのままガブリと食べると、口の中は大丈夫か、怪我していないかと心配された事を思い出しました。桃の産毛は気にならないのにエビは気になるのかと思った事を思い出します。
スミマセン、話がピュイダムールから逸れてしまいました。
次回また、お菓子についてお話します、お楽しみに。